なぜアップルはiPhone SE2を出さないのか – ダイヤモンド・オンライン

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写真:アップルiPhone SE「X」タイプ開発か

 アップルは6月4日に開催した世界開発者会議「WWDC 2018」で、秋、おそらく9月の中頃までにリリースするiPhone・iPad向けの新ソフトウェア「iOS 12」を披露しました。

 スマホ依存に対処する新機能「スクリーンタイム」や、複数の人と拡張現実(AR)体験が楽しめる「ARKit 2」、そのAR機能を駆使して自分の絵文字を作って動かせる「Memoji」など、順当に進化を続けています。

 そして、次の関心事は、新しいiPhoneがどんなものになるのか、ということです。

今年はいつ頃、iPhoneが出てくる?

 例年のiPhone発表のスケジュールを見ると、9月第2週の火曜日に発表され、その週もしくは翌週の金曜日予約開始、予約開始から1週間後の金曜日に発売されるというものです。

 今年のカレンダーを眺めれば、9月11日発表、9月14日予約開始、9月21日発売というスケジュールが妥当なところでしょうか。そうすれば、最初の週末の新型iPhoneの販売が9月の終わりで締めとなる2018年第4四半期決算に含めることができ、モデル末期で夏枯れするiPhoneの販売台数を幾分積み増すことができるようになります。

 iPhoneはアップルの売上高の6〜7割を占めており、いわばアップルのビジネスの善し悪しを測る最大の指標となっています。開発や部品調達の遅れなどのいかなる理由を乗り越えてでも、iPhoneの販売台数の数字を落とすような事態を避けなければなりません。

 ただし、もちろん前述のようなスケジュール通りになるとは限りません。例えば昨年iPhone Xは11月3日に発売されています。あるいは、今後なんらかの突発的な事態が起きるとも限りません。

今考えられているモデル構成

 2018年にリリースされるiPhoneは3機種になるーーBloombergをはじめとした米系メディアは、早くから次のiPhoneについての予測を披露してきました。

3種類のモデルが登場する可能性については、さほど疑問の余地はありません。単純な話として、2017年も、iPhone 8、iPhone 8 Plus、iPhone Xの3つのモデルをリリースしており、そのこと自体が不可能とは言えないからです。

 ただし2016年9月の新モデルに比べ、2017年のシリーズでは、保存容量が3種類から2種類に、色も4種類から3種類もしくは2種類に減らされました。これまで2機種を製造していたキャパシティで3機種を用意するための工夫といえます。

 3つのモデルの内訳は、有機ELディスプレイを搭載する5.8インチのiPhone Xの後継モデル、同じく有機ELディスプレイを搭載する6.5インチの新モデル、そして6.1インチの液晶ディスプレイを搭載する大画面廉価モデルの3機種です。

 いずれも、iPhone Xのように切り欠きのある全画面でTrueDepthカメラを備え、ホームボタンなし、顔認証に対応する新しいデザインが採用される見込みです。画面サイズが大きくなってもデバイスのサイズが差ほど変わらない点は全画面モデルのメリットでしょう。

 しかし、根強いファンが多い4インチサイズのコンパクトなiPhone SEについては、結局新機種の噂がぱったりと止み、2018年中の登場はないかもしれないとの話にもなっています。

どんなiPhone SEが欲しい?

 iPhone SEの登場は2016年3月。その半年前に登場したiPhone 6sと同じ性能のA9プロセッサを採用しながら、ボディのデザインはiPhone 5sのものを活用し、300ドル台という低価格を実現したモデルです。

 新興国市場や、先進国でもこどもや小さなスマートフォンを好む人たち、また格安SIMとの組み合わせなど、最新型のiPhoneとは異なるニーズをつかむモデルとして、特に販売台数の拡大に効果的なモデルでした。

 販売台数の拡大は前述の通り、アップルのビジネスの重要指標となっています。加えて、今後アップルが新たな指標としてアピールしたいサービス部門の売上にも直結するため、安い端末でも、売れていくことは長期的な視点でのユーザー獲得につながります。

 そのiPhone SEは、2年経過しても刷新されませんでした。正確には、一度はストレージの容量を倍増させるアップデートを受けましたが、プロセッサやカメラなどには変更がありませんでした。

 iPhone SEは小ぶりでホームボタンを搭載するスマートフォン。もしiPhone Xのような全画面を実現すれば、サイズは小さいままで画面サイズをiPhone 8並に拡大できる可能性があり、個人的にも新モデルの登場に期待していました。

 しかしこのまま新モデルの登場がないのであれば、9月のiPhone発表の場で、iPhone 7シリーズをiPhone SE並の価格に値下げし、iPhone 8シリーズや新型のiPhone Xシリーズとともに併売する形で落ち着くのかもしれません。

 あるいは、米国の新学期シーズンに合わせて、プロセッサやバックパネルだけを変更する小幅な刷新があるのかもしれませんが、それは期待している全画面iPhone SEではないわけです。

今年iPhone SEを用意しない理由とは

 iPhone SEの全面液晶モデルは、スマートフォンとして魅力的な製品になる一方で、アップルがiPhone SEを維持している最大のメリットを失わせる可能性があるのです。

 iPhone SEはユーザーにとってはコンパクトさ以上に、価格が重要です。米国では349ドル、日本では税抜3万9800円という低価格を実現しており、米国で再整備品などの中古品を探せば、150ドル程度で手に入ります。

 そして、1〜2年型落ちのモデルではなく、新製品として廉価モデルが登場することは、iPhone SEを選ぶ顧客のインセンティブを駆り立てることができます。

 安くなければiPhone SEではない。安くiPhone SEが作れなければ、アップルは新モデル登場へとコマを進めるべきではないのです。

 iPhone SEの次世代モデルには、iPhone Xのような全画面液晶にTrueDepthカメラとガラスの背面を装備し、ワイヤレス充電にも対応すると見られています。いずれも、既存のiPhone SEからコストが上昇する要因になります。

 これらのパーツの価格が下がり、iPhone SEの低価格を維持できるまでは、iPhone SEの新しいデザインを試せないはずです。

 ましてや、まだiPhone Xの1機種にしかTrueDepthカメラが搭載されていない現状で、上位機種を押しのけて、iPhone SEがTrueDepthカメラを備えることは、あらゆる部分に整合性を追求するアップルらしからぬ行動とも考えられます。

 前述の通り、小型で全画面のiPhoneへの期待は、筆者も大きいものです。しかしその夢のiPhoneの実現には、もう少し環境整備が必要だ、ということになるわけです。



matsu

筆者紹介――松村太郎

 1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。

公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura



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