自治体と連携して取り組む、使用済み紙おむつの再資源化プロジェクト(ユニ・チャーム) – 日経BP社

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高原豪久ユニ・チャーム代表取締役社長と本田修一志布志市長(当時)。連携して使用済み紙おむつの再資源化に取り組んでいる(写真:ユニ・チャーム)

 ユニ・チャームは、あらゆる世代が共に助け合って生きる「共生社会」の実現に向けて、「その人らしさ/自分らしさ」を尊重し合い、皆が自然に暮らせる社会をつくることを目的として、国内外で様々な戦略を展開している。高齢人口の増加に伴う「大人用紙おむつ」に関する取り組みもその1つである。

 2020年に日本の総人口の30%は65歳以上の高齢者になると予測されており、健康寿命の延伸は国家的な目標となっている。そうした中、適切な排泄ケアは健康寿命を延ばすために重要な要素といわれており、それに伴い紙おむつ需要の増加が見込まれる。

 一方、使用済み紙おむつのほとんどは焼却処理されているのが現状であり、市場拡大には、環境負荷低減に向けた再資源化に向けた技術開発も必要だ。ユニ・チャームはこの技術開発にも早くから着手しており、2015年には「使用済み紙おむつ資源化」の基本技術を完成。東京都市大学や北里大学との共同検証により、環境影響評価と再利用パルプの衛生安全性評価を実施。再利用のパルプは環境にやさしく、安全性も高い素材であることが確認され、2015年10月30日にニュースリリースを配信した。

 この情報により、全国の地方自治体から問い合わせが寄せられた。ユニ・チャームでは、社会実装に向けた実証実験の候補地検討を行った結果、リサイクルにおいて必要となる分別回収を既に実施しており、環境に対する熱意も高かった鹿児島県志布志市と連携していくことを決めた。

住民の協力でモデル収集、効果を実証

 志布志市は鹿児島県東部に位置し、人口は約3万人。増え続ける生活ゴミ処理対策として、「分ければ資源、混ぜればごみ」を合言葉に、2000年から本格的に分別収集を開始し、現在27分類で再資源化を推進。その結果、埋立てごみを8割削減することができるようになったが、残った2割の埋立てごみのうち、約2割が使用済みの紙おむつとなっており、その再資源化は一番の課題となっていた。

 志布志市、大崎町、曽於市の近隣2市1町のゴミ処理・再資源化の中核施設「そおリサイクルセンター」(所在地:大崎町、運営:有限会社そおリサイクルセンター)では、使用済み紙おむつの再資源化に向けて2008年ごろから収集および処理について検討を重ねてきていた。

 こうした背景を踏まえ、ユニ・チャームと志布志市は、2016年5月に「志布志市使用済み紙おむつ再資源化推進協議会」を発足。志布志市のゴミリサイクル処理を実施する、そおリサイクルセンターを拠点として実証実験をスタートした。

 ユニ・チャームの再資源化技術は、収集した使用済み紙おむつから低質パルプを回収し、その後独自のオゾン処理を加えることで、バージンパルプと同等の衛生的で安全な上質のパルプ(衛生材料用パルプ)へと再資源化を可能にしている。そおリサイクルセンターでは、この基本技術を活用してより効果的・効率的な処理技術に向けた実証実験を行っている。

上:紙おむつのライフサイクルとリサイクル技術開発の流れ。右:独自開発の「オゾン処理装置」((写真・資料:ユニ・チャーム)

 一方、志布志市では、ゴミ分別の27品目に加え、使用済み紙おむつについても市民に分別と排出の協力を要請。2016年11月からモデル収集を開始しており、分別された使用済み紙おむつを収集する体制を構築。現在は、さらに再資源化に適した収集方法について検討を実施している。

使用済み紙おむつを収集についての住民向け説明会の様子(写真:ユニ・チャーム)

専用の袋で収集された使用済み紙おむつ(写真:ユニ・チャーム)

 また、こうした使用済み紙おむつの再資源化によるパルプの再利用の環境影響評価を東京都市大学の伊坪徳宏教授と共同で実施。LCA(ライフサイクルアセスメント)手法を用いて、地球温暖化、水処理、土地利用の影響領域における環境負荷を算定し、焼却処理と比較した場合、再資源化処理は、温室効果ガス排出量が約3割、使用済み紙おむつの1トン当たりの処理に必要な水消費量は約6トン、土地利用は約180m2/年が削減されるという結果が得られ、環境に対して有効な手段であることがさらに明確となった(第30回環境情報科学学会〔2016年12月5日〕にて発表)。



使用済み紙おむつを焼却処理しないことで26%の削減効果(資料:ユニ・チャーム)

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パルプの有効活用により、木材からパルプ製造時に必要な多量の水を節約(資料:ユニ・チャーム)

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パルプの有効活用により、新たなパルプ生成のための森林伐採が減少(資料:ユニ・チャーム)

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