住宅の内装監修、ユナイテッドアローズの勝算 – 日本経済新聞

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 セレクトショップのユナイテッドアローズは住宅の内装を事業としてスタートした。大規模改修を得意とするグローバルベイス(東京・渋谷)と組んで、東京都武蔵野市にある中古マンションの部屋をリニューアル。アパレルで培った店作りの知見を生かし、ファッション好きの30~40代の心をつかむ狙いだ。

寝室とクローゼットを仕切る壁をガラスにして、服や帽子などをあえて見せて収納した

寝室とクローゼットを仕切る壁をガラスにして、服や帽子などをあえて見せて収納した

 住みたい町として人気の吉祥寺。吉祥寺駅から徒歩約6分のところに、ユナイテッドアローズが内装デザインや家具の監修をしたリノベーション物件がある。2LDKで約80平方メートルの部屋のベランダからは井の頭公園が見え、都心にいながら自然を楽しめる好立地だ。

 ユナイテッドアローズは2020年3月期が最終年度の中期経営計画で事業領域の拡大を掲げ、グローバルベイスとの取り組みはその一環。竹田光広社長は「次世代の快適な暮らしを提案していきたい」と意気込む。

 「これまで店舗で表現してきた世界観を住宅空間でも伝えていきたい」というのが今回の狙い。同社は約20のアパレル業態を抱え、ブランドコンセプトや立地に合わせた店作りを得意としてきた。同社の店舗開発部の榎本芳郎氏は「開放感がありくつろげる空間」を目指した。

 物件を取得してからモデルルームが完成するまで約5カ月かかった。中古物件の改装は通常、物件を取得してから約2カ月で工事が終わるが、約3カ月延びた。グローバルベイスには住宅の改修方法のマニュアルがあるが、アパレル企業と共同で改修するのは初めて。グローバルベイスの野田清隆常務取締役は「マニュアルを踏襲するとアパレルの店作りの良さが消えてしまう」という懸念から、今回はマニュアルを使わないと決めた。

 榎本氏と相談しながら、部屋の壁・床に使う素材から家具までイチから考えた。だが既存の部屋を改装するため部屋の構造自体は変えられない。一定の制約がある中で、アパレルの感性を生かした部屋を作り上げる工夫が必要だった。

 リビングの一角に設けた書斎には店作りの知見を凝縮した。書斎とリビングを仕切る壁はガラスを用い、圧迫感を感じないようにした。机は壁とほぼ平行で、大人の腰の高さに建て付けたほか、本や雑貨などを置く棚は天井からつるした。アパレル店では目線と同じ高さに物を置く一方で、足元に空間を作ることで店舗を広くみせている。

 店舗と住宅の内装で最も異なるのは利用する年数だ。アパレルの店舗は10年以内に改装するのが一般的だが、住宅は数十年、生活することを想定して作る。「アパレルの店作りを住宅にそのまま取り入れると耐久性に支障が出る」(野田常務)という。住宅の場合、机や棚は床の上に設置し、重力が床にかかるように強度を保つ。今回の工事では天井や壁に強度を加える施工を施した。

 最も手狭で閉塞感のある廊下にも、広く見せる工夫を凝らした。廊下の構造自体は変えられないが「服と同じように、色使いを工夫することで広く見せられる」(榎本氏)。色には黒など引き締まって見える色や、白などの膨張して見える色がある。色の効果を利用し、床や壁だけでなく、寝室や洗面所の扉や扉の取っ手まで膨張色である白色に統一した。

 住宅改修のマニュアルに従えば、ドアの取っ手は住宅メーカーが販売する既製品の中から選ぶが、既製品には白色の扉の取っ手はないという。そこで工場に頼み込み、今回はオーダーメードで作ってもらった。

 今回の部屋は売り出し中で、物件価格は家具付きで8480万円。4月中には別の物件も公開する。本物志向の人をターゲットに、ぜいたくな仕上がりを意識したといい、さらにもう一件、年内に用意する計画だ。

(企業報道部 高橋彩)

[日経産業新聞2018年4月5日付]





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