[現場は今 生産調整見直し 1] 米価下落 “抜け駆け”が心配 一番の安全網は適正生産 – 日本農業新聞

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麦を植えた水田を前に、米価の見通しを不安視する高田さん(福岡県糸島市で)

 米の生産調整の見直し元年となる2018年。多くの地域で需要に応じた生産を続ける取り組みが進む一方で、農家には過剰作付けで米価が下がるのではないかとの不安も強い。産地では、業務用米の拡大や他品目への転換の動きも加速する。作付けを控えた現場の動きを追う。

 「米価が下落すれば結局、自分たちの首を絞める。これまでと変わらず需給調整に臨む」。福岡県糸島市で水稲16ヘクタールを栽培する高田和浩さん(57)は、こう言い切る。

 同県水田農業推進協議会(水田協)は2017年産から、現場の意向を踏まえた作付け計画を早めに練る主体的な需給調整の仕組みを整えた。国が生産数量目標の配分から手を引いた後も、需給の混乱を招かないためだ。事務局のJA福岡中央会は、研修会などで「生産調整の廃止ではない」とし、「需要に応じた生産で米価の安定を図ろう」と呼び掛けてきた。

 県水田協と各地域との意見交換の場では「他県の影響で米価が下落したらどうなるのか」などと、他産地の抜け駆けに懸念を示す声が噴出した。高田さんも「今後もしどこかが増産に踏み切れば、着実に需給調整した地域も、あおりを免れない」とこぼす。

 需給安定に向けて、高田さんが「大前提」とするのが、飼料用米など転作作物に助成する「水田活用の直接支払交付金」の確保。主食用米の需要が減る中、農水省はその分をカバーする十分な額を用意し続けられるのか──。財務当局が削減の意向を示すだけに、懸念は強い。

 現場の不安に対し、国が安全網と位置付ける収入保険。だが、米農家には野菜農家に比べメリットが少なく、JAや農家は「加入申請はほとんどないだろう」とみる。掛け捨て部分があることなどが理由だ。高田さんは「結局、一番の安全網は米価の安定だ」と強調する。

 地元のJA糸島は「米価が乱高下し米で食えないとなれば、放棄地が増える懸念もある。確実な需給調整を後押しする手立てが必要ではないか」(営農部)と訴える。

 水田が耕地面積の98%を占める福井県のJAテラル越前。同県では県農業再生協議会が示した地域別の目安を基に、地域再生協が集落を通じて生産者ごとの目安を提示。昨年までと同様のやり方で、需給調整を徹底する。

 JAは「米価に影響があってはならない。生産調整に協力してほしい」と呼び掛ける。しかし、2月の営農座談会では、参加者から「生産調整をしない地域があれば、協力しても無駄」との声も上がった。危機感を持った管内二つの地域再生協は、資料などで生産調整を続ける意義を強調するようにした。

 それでも生産者の不安は根強い。大野市で主食用米を約70ヘクタール生産する農事組合法人、大野市総合農場の前田幸一農場長は、19年産以降の米価下落を懸念する。ただでさえ18年産は米の直接支払い交付金(10アール7500円)の廃止で、500万円以上の減収となる。交付金の廃止により、減収となるのは他の産地も同様。その減収分を主食用米の増産で取り戻そうとする農家が多くなることで、仮に米の価格が下がれば「大規模ほど影響は大きい。だからこそ(目安を)守らなくてはいけない」と強調する。 





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