【宮城発 輝く】エレキギター製造から販売まで一貫、低価格実現 – SankeiBiz

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 □セッショナブル

 宮城県女川町に本社を置く「セッショナブル」。同社が運営するサービス、「GLIDE(グライド)」は、エレキギターの製造や中古ギターの販売などを行っている。東日本大震災で大きな被害を受けた宮城県女川町に工房を構え、社員数7人の少数精鋭ながら、業界では珍しい製造から販売までを一貫して手掛け、低価格を実現している。

 同社の社長、梶屋陽介氏(34)は、鹿児島県種子島の出身。都内の大学を卒業後、大手楽器店に就職した。「ギターは高校生のとき、家で趣味で弾く程度だった」と話す。自身の生業になるとは思わなかったが、日本有数の楽器街、東京・お茶の水の店舗で勤務した。

 ◆町の空気にひかれた

 もともと独立志向が強かった。「いろいろなお客さんと接している中でギターに関する知見を深めることができ、ギターを扱うノウハウを身につけることができた」と振り返る。そして、30歳。一念発起して、独立を果たした。

 ハンドメードギターの製造拠点であるギター工房も東日本大震災で甚大な被害を受けた女川町の商業施設「シーパルピア女川」にある。独立した4年前、ギターの製造拠点を決めあぐねていた際、創業支援などを行う女川のNPO団体の知人から紹介された。当時は震災からまだ2年余り。震災の爪痕がまだ色濃く残る女川の人々と言葉を交わしたとき、この町が持つ新しいものを生み出すエネルギーに満ちた空気にひかれた。「ここなら良いものが作れるのではないか」と女川に工房を置くことを決めた。自身も女川に住み、週の半分は女川で過ごす。

 現在、同工房では楽器作りの特殊技術を学ぶ専門学校を卒業した、それぞれ青森県、宮城県、東京都出身の3人の若手の職人がギター作りに精を出している。販売は当初、人が集まりやすい仙台市の中心部に置いていたが、オンラインショップに転換した。

 ◆2~3割は北米顧客

 同社のビジネスモデルは製造から販売までを一貫して自社で行うという業界の中では珍しいもの。手作りのオリジナルギターでありながら低価格で顧客に提供することが可能となった。素材に特殊合金を使用するなど新しいギター作りにも果敢にチャレンジしている。

 デザインも革新的だ。ギターのボディーの一部を空洞にしたものもある。そのギターから奏でられる音は澄みわたった中にも重厚感がある。

 「ビジネスモデルと製品で他社との差別化を図っている。楽器業界は製品が均一化しており、参入障壁が低い。だからこそ製品とビジネスモデルで他社と差別化を図ることが重要だ」と梶屋氏は語る。

 また、こうしたビジネスモデルは、顧客にとてもメリットがある。製造から販売までを自社で手がけているため、顧客の要望に最も適したギターを提供することができるという。

 開店したとき、1番目に来店した客は男子高校生だった。同社のギターを手に取ったときの高校生の笑顔が印象的だったと振り返る。

 「この仕事のやりがいはやはりお客さんの要望にあったギターを提供することができたときだ」とほほ笑んだ。

 同社の今後について、梶屋氏は「ギターの製品品目を増やすことによって事業の拡大を図っていく」と話す。現在、売り上げの2割から3割はギターのユーザーが多いとされる北米地域などの海外の顧客が占めているという。「会員制交流サイト(SNS)などインターネットを駆使して情報を発信して顧客の獲得につなげたい」と話した。(塔野岡剛)

                   ◇

【会社概要】セッショナブル

 ▽本社=宮城県女川町女川浜字大原 シーパルピア女川E棟19

  ((電)0225・98・7220)

 ▽設立=2014年6月

 ▽従業員=7人

 ▽事業内容=エレキギターの製造・販売などを行うサービス「GLIDE」運営

                 ■ □ ■

 □梶屋陽介社長

 ■女川で直感したエネルギーを信じて

 --なぜ手作りのギターを

 「学生時代から趣味でギターを弾いていた。しかし、どうしても楽器関連の仕事をしたかったわけではなく、大手のレストランチェーンなどさまざまな業界の会社を受けた中の一つとして楽器店を選んだ。楽器店に勤めていた当時、楽器店街、東京・お茶の水で得たノウハウは今に生きていると思う。また、30歳という節目の年に目標だった独立を果たすことができて、目標を持ち続けながら仕事をしてきて良かったと思っている。ハンドメードというのは定義づけが難しいが、生産工程上で人の手が加えられて作られる部分を最大限大切にしている」

 --社名の由来は

 「楽器のセッション(合奏)と英語で『可能』という意味の『able』を組み合わせた造語。『GLIDE』は『GUITAR LIFE DESIGN』(ギター・ライフ・デザイン)のそれぞれの頭文字を取った」

 --ビジネスモデルの利点は

 「まずは品質の良いギターを低価格で提供できること、さらに製品の納期を短くできる点だ。この業界は製品が均一化していて参入障壁が低い。だからこそビジネスモデルと製品で他社と差別化を図らなければならない。また、顧客の要望に最適の商品を提案することもできる。コンサルタントのような接客をすることができ、顧客の満足度の向上を図っている」

 --工房は女川で続けるのか

 「女川で続けていきたい。最初に女川を訪れたときに直感した新しいものを生み出そうとするエネルギーを信じて、チャレンジしていこうと思っている。同町のスペインタイルを作っている人などと交流し、話をする中でますますエネルギッシュな雰囲気にひかれている。また、製造品目を増やし、海外でも顧客を獲得して事業を大きくすることでギター作りの原点である女川の発展にも貢献したい」

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【プロフィル】梶屋陽介

 かじや・ようすけ 大学卒業後、大手楽器店を経て、2013年30歳のときに独立。翌14年6月に、セッショナブルを創業。34歳。鹿児島県出身。

                 ■ □ ■

 ≪イチ押し!≫

 ■「TL-1」透き通った中に重厚感ある音

 製造販売を自社で行うことによって低価格で高品質なエレキギターを提供する主力サービス「GLIDE」。その第1弾として製造したのが「TL-1」だ。自社工房の職人が手塩をかけて世に送り出したもので、そのギターからは透き通った中にも重厚感のある音が奏でられる。

 色はブルー、ブラック、ブラウンの3色。梶屋陽介氏は「素材、デザイン、音質の全てにこだわって生産にあたった。革新的な仕上がりになっていると思う」と自信をのぞかせる。

 同製品は国内だけでなく海外でも購入者がいる。梶屋氏は海外での販売路線拡大に向けて事業拡大に意欲的に取り組むという。「事業拡大が女川への恩返しになると思うので、女川で工房を続けながらこれからもギターを生産していきたい」と語った。





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