【藤井真治のフォーカス・オン】どうなる?トヨタの国内販売網…チャネル制のしがらみと「あるべき姿」とは – レスポンス

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◆トヨタ本体の組織改正

すでに10月の販売店代表者会議で現在4系列あるトヨタの国内販売体制の見直しが表明されているが、11月28日に発表されたトヨタ自動車の組織改正でその輪郭が少し鮮明になったようだ。

これまで国内のトヨタブランドの販売店はトヨタ店、トヨペット店、カローラ店、ネッツ店の4系列(TPCN)で、トヨタ自動車の国内販売事業本部もその4系列をそれぞれ支援・管理する部に分かれている縦割り組織となっていた。

この複数チャネル制は、もともと車格やユーザー層の異なる新モデルを別販売チャネルで集中して量販していく成長期の方式。現在158万台とピーク時から100万台近く減少した販売台数の元では時代遅れの感があった。すでに『プリウス』、『アクア』、『C-HR』などの量販車種はトヨタの全チャネルで販売されるなど系列の独自制も薄れている。販売減少に対応する販売店自力のスリム化も限界にきている。チャネル制そのものが新しい時代に対応する販売網のあり方を考える際の障害になっていたようだ。

今回のトヨタの組織改正では、そのトヨタ店営業部をはじめとする4営業部が国内営業部という一本の組織に統合されている。これはトヨタ国内販売史上、歴史的な出来事と言える。

◆系列は統合されていくのか?

古い仕組みは時流に沿って改変されていく運命にある。

では、トヨタ本部の4営業部統合に追従して、全国TPCN4系列の販売店も統合され看板を掛け替えていくのだろうか? 2004年にオート店とビスタ店を統合しネッツ店にしたような会社名や看板/IDの変更といった大手術をやるのだろうか?

それはこの時代にはあまり意味がないように思える。

トヨタが今回販売チャネルという概念を本社サイドで取り払ったのは、チャネル制度が存在するために議論もできなかった「あるべきトヨタ販売拠点の姿」に向けての新フォメーションを実行に移しやすくするためだろう。海外のトヨタや国内のレクサスの販売ネットワーキングで普通におこなっている、人口デモグラフィー、投資効果、IT時代への対応などを考慮したマッピング作業を進めるのではないだろうか。

とはいえ販売会社280社で5000店舗にまで膨れ上がっているトヨタの販売網の中で、一社当たりの月販平均台数は500台、一店舗当たりは僅かに26台だ。海外のトヨタ販売店と比べても驚くほどの生産性の低さである。また、ネット社会の中でユーザーの購買行動も変化し店舗の役割も変わっている。販売店舗数自体の削減という大きな流れは避けらないだろう。

今後の展開は自動車販売現場である「地域」に移り、各都道府県ごとに存在する地場資本の利権と「あるべきトヨタ販売拠点の姿」との調整がなされると思われる。

トヨタの国内販売の長い歴史の中で出来上がった現在のチャネル制。先ず「あるべき姿」を作り、その上で現実のシガラミ調整に入る。ある意味トヨタらしい「現地現物現実」に即したカイゼン対応が取られることを期待したい。

◆国内販売店に「夢」も与えるトヨタ

今回の人事異動によってトヨタの副社長は4人から6人に増員となったが、国内担当副社長という肩書きはどこにもない。これを「国内軽視」と見る向きもある。しかしながらトヨタのグローバル事業の一つが日本の販売と考えれば、トヨタの国別販売で日本はアメリカの240万台に次ぐ2位のポジション。120万台の中国と比較しても十分に大きく、軽視などするはずがない。

少子高齢化、若者の車離れ、販売台数の頭打ち、販売体制のスリム化、チャネル制の見直し…トヨタとともに歩んできた販売店にとっては、正直元気の出ない話ばかりが続く。しかしトヨタはその販売店にしっかりと夢も与えている。

新生国内販売事業本部にはバリューチェーンビジネス(アフター、中古車など)や流行りのモビリティサービスを推進する組織も強化され、販売店のビジネスの多角化推進組織が明確になっている。2020年にはトヨタの全新車がコネクティッドカーになる。これに伴う新しい販売店ビジネスのネタ提供も今後期待できる。

平均年齢48歳の日本。戦後、いや下手をすると廃藩置県からのシガラミのままの体制やカルチャーを継続している組織はあちこちに存在する。トヨタの国内販売部門の歴史的な決断とも言える本部のチャネル制解消と今後の展開は、閉塞感漂う官民の組織改編の一つのお手本になる、というと少し大げさすぎるだろうか。

<藤井真治 プロフィール>
(株)APスターコンサルティング代表。アジア戦略コンサルタント&アセアンビジネス・プロデューサー。自動車メーカーの広報部門、海外部門、ITSなど新規事業部門経験30年。内インドネシアや香港の現地法人トップとして海外の企業マネージメント経験12年。その経験と人脈を生かしインドネシアをはじめとするアセアン&アジアへの進出企業や事業拡大企業をご支援中。自動車の製造、販売、アフター、中古車関係から IT業界まで幅広いお客様のご相談に応える。『現地現物現実』を重視しクライアント様と一緒に汗をかくことがポリシー。





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