普通の人が普通にAIを構築する時代が来ている – 日経トレンディネット

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 大企業または技術の先端企業だけが必要とし、利用する技術と思われがちな人工知能(AI)。だが既に、個人農家でも活用されはじめている。Google Cloudチームのデベロッパーアドボケイトである佐藤一憲氏がTREND EXPO TOKYO 2017に登壇。AI(人工知能)の活用事例を、同社サービスを軸にして語った。

グーグル Google Cloud デベロッパーアドボケイト 佐藤一憲氏

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 「より人間に近い賢さを持ったITを作っていこうというのがAIです」

 佐藤氏は講演の冒頭でそう話した。

 「そして賢いITを作るためのアプローチのひとつが、機械学習です。現在は99%のITシステムが、人がプログラムを書いてコンピューターの処理の仕方を決めています。一方の機械学習は、コンピューターが自らプログラミングを行うことをいいます。例えば、eコマースのデータを見せていくと、こういうお客様は商品を買いやすい、あるいは買いにくいということを、コンピューターに探らせることができるのです」

 さらに機械学習の中でも今注目を浴びているのが「ディープラーニング(深層学習)」だ。人間の脳神経回路をモデルにしたアルゴリズムで、大量のデータを学習させることでAIを構築できる。

 「すでにGoogleが提供する100以上のサービスで、ディープラーニングが生かされています。1番分かりやすいのはGoogleフォトですね。今までは写真を撮ると、これは犬の画像、これは猫の画像というようにユーザーが1枚1枚整理する必要がありました。でも今では、Googleフォトにキーワードを打ち込めば、関連した画像を選び出してくれます」

 ほかにも電子メールアプリ「Inbox(英語版)」には、メール本文の内容を理解し、自動で返信文を作成してくれるスマートリプライ機能が搭載されている。また、Google翻訳にもニューラルネットワークが活用され、自然な翻訳が可能になったという。

 「Googleは、機械学習やディープラーニングが、爆発的にITを変えていくと考えています。そして当社が培ってきた機械学習の技術を、皆さんにカスタマイズして使っていただけるサービスを、いくつか提供しています」と佐藤氏。

 Googleは、自社サービス、または自社の生産性を上げるために開発してきたAI技術を、誰もが使えるように一部を開放し、「Google Cloud Platform」というサービス内で提供している。

 例えば、音声をテキスト変換する「Cloud Speech API」や、画像を解析する「Cloud Vision API」、動画の内容をテキスト化していく「Cloud Video Intelligence API」など多岐にわたる。そして、それらを統合して活用しやすくするのが機械学習ライブラリ「TensorFlow」だ。

 「階層の深いディープラーニングには、強力なGPUなど、マシンパワーが求められます。でも、TensorFlowを使っていただけば手元のパソコンでも、本格的な開発が簡単に行えるのです」

 TensorFlowを使うと、具体的に何ができるのか? 佐藤氏は、静岡県のキュウリ農家を一例として挙げた。この農家では、収穫されたキュウリを9段階で仕分けをしている。この作業を、カメラを備えた機械で自動化したのだ。キュウリの色や長さ、表面の様子を画像解析し、9段階に仕分けしていく。従来は、人間が一つひとつ仕分けしていたものを、自動化した。

 「開発した農家の方は、元々エンジニアではありましたが、AIの専門家ではありません。彼はTensorFlowをダウンロードして、仕分けシステムを自作したのです。これを作るために9000枚のキュウリの画像を撮り、1枚1枚、9段階のラベルを付けて、TensorFlowに学習させて作りました。システムの基礎経費は15万円です。これまでだったら、数千万円はしていたでしょう」

 ディープラーニングの導入コストを、TensorFlowが格段に下げた。同時に、これまで人間が行っていた作業が、人工知能によって自動化されている。

 「例えば、中古車オークション会社のオークネットでは、年間500万台が扱われています。1台あたり20枚くらいの写真を撮って整理するのに、人による作業が必要でした。これをTensorFlowとCloud Machine Learning Engineを使うことで自動化されたんです。当初は機械学習に関する知識は全くありませんでした。それが3週間くらいトレーニングを行ったことで、今ではご自身でシステムを運用されています。それだけ誰でも使えるものなのです」

 AIの専門知識のない人は、機械学習を身の回りの業務に活用するのは難しすぎるのでは? または導入コストが高いのでは? と不安になるだろう。だが、既にそうした障害は取り払われつつあることが、佐藤氏の話から明らかになった。AIはもう身近な存在として、日常の中に取り入れられる時代になったといえよう。

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(文/河原塚英信)





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