紆余曲折のりこえて復縁、新しい人生を歩む両親へ – 朝日新聞

Home » 質屋 » 紆余曲折のりこえて復縁、新しい人生を歩む両親へ – 朝日新聞
質屋 コメントはまだありません

 〈依頼人プロフィール〉

 笹塚怜奈(仮名)さん 33歳 女性
 三重県在住
 会社員

    ◇

 私には兄と弟がいて、幼少期は家族5人、裕福で何一つ不自由ない生活をしていました。ところが、父が義理の兄の保証人になっていたことが原因で、2000万円の借金を背負い、そこから家族がバラバラになってしまいました。一軒家を引き払い、しばらくは5人でアパート暮らしをしていましたが、借金の取り立てから毎日電話がくるような生活に母は音を上げ、当時働いていた水商売のお客さんの男性のところに駆け込んだのです。

 兄と弟は父の元へ残り、母と私はパートナーの男性と一緒に暮らすことになりました。ところが、借金取りから逃れられたと思ったら、今度はその男性が母や私に暴力をふるいました。父を捨てた負い目がある母は、親戚に相談することもできませんでした。

 当時私と兄は中学生、弟は小学生です。兄と弟はパン屋でもらってきたパンの耳で空腹をしのいだり、私は学校の先生がコンビニで買ってきてくれたおにぎりやサンドイッチを夕飯に食べたりしていました。私は剣道部に入っていましたが、もちろん防具や竹刀を買うお金はありません。見かねた先生が立て替えてくれて、部活を続けることができました。

 お金のなかった母は正社員として働きながらバイトもし、働きすぎて救急搬送されたこともあります。生活が大変だったのにもかかわらず、部活推薦で進学した高校で、私がみんなと同じように活動できるよう、自分の身の回りのものを質屋に入れて、遠征代を工面してくれたこともありました。

 結局、紆余曲折の末、私が高校3年生だったときに父と母は復縁しました。私は卒業式間近で妊娠がわかりすぐに結婚したため、家族5人で暮らすことはほとんどしませんでしたが、その後はしばらく両親と兄と弟は一緒に暮らしていました。

 やがて弟も結婚し、昨年末には第一子が誕生。兄も一時期は荒れていましたが、この2、3年は彼女もできてとても安定しています。今は、弟が建ててくれた家に、両親と兄の3人が住んでいます。

 両親は弱い人間で、二人を恨んだこともあります。でも、いまはすべてをひっくるめて、唯一無二の家族なんだなと思います。今年、父は還暦を迎えました。母も来年の2月には還暦を迎えます。一時は自暴自棄になって自殺未遂を繰り返し、「自分は孫の顔なんて見られない」と言っていた父は、この3月、10人以上の家族に囲まれて還暦をお祝いしました。

 一度は別れたものの復縁し、新しい人生を歩んでいる両親へ、還暦の節目をお祝いする花束を贈りたいです。明るい太陽みたいな母と、それを支える父には、カラフルな花束がよく似合います。還暦の赤も入れてもらえるとうれしいです。

 ◇

この連載をまとめ、大好評発売中の書籍『花のない花屋』。その電子書籍版を、特別に6月8日~21日まで無料公開しています。ぜひ美しい花々をご覧ください。
Kindleはこちら
Reader Storeはこちら

花のない花屋

コメントを残す