紙のメモ いまさら聞けないデジタル化の極意 – 日本経済新聞

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ワコムの「Bamboo Folio」。手書きデータをデジタル化するパッドは、ガジェット好きにはおすすめだ

 僕も昔は紙の手帳を使っていたのだが、2000年にデジタルに切り替えてから、一切使わなくなった。スケジュール管理は完全にデジタルに移行した。一方、紙のメモやノートはいまだ手放せずにいる。

 取材などでまとまった記録を取りたいケースでは、iPadにApple Pencilで手書きすることがほとんどなのだが、ちょっとしたメモを取りたいときにはデジタルより紙のほうがなんだかんだ言って手っ取り早い。それに僕も根本はアナログ派なのかもしれない。紙にペンで書くこと自体が好きなのだ。

 今どきは、紙のメモやノートもスキャナーやスマートフォンで取り込んで、簡単にデジタル化できる。デジタルにすることのメリットは、いくらでも保存できること、どこでも見られること、後で探すのが楽なことの3つだと思っている。

 紙のノートは、書き尽くしたら新しいものを買うしかない。この時点で、それまで使っていたノートは、引き出しや本棚にしまうことになる。そうなると、せっかくの記録を持ち歩けなくなる。また、数年前のノートを探そうと思ったらそれだけでも大変だ。

 しかし、デジタルデータにしておけば無限に保存していける。しかも、クラウドもしくはノートアプリに保存しておけば、パソコン、スマホ、タブレットなど、どのデバイスからいつでも取り出せる。ソートで日付順に並べることも可能だ。

■スキャナーでの読み取りに適したノートとは

 僕が紙のノートをデジタル化する際に、最もよく使うのがドキュメントスキャナーだ。理由は単純で、作業が楽だからだ。自動給紙装置が付いているモデルなら、20枚くらいまとめてスキャンできる。5分とかからないので、多少ため込んでも問題はない。

 スキャンすることを前提にしたとき、重要なのがノート選びだ。ドキュメントスキャナーで読み取るためには、紙が1枚ずつきれいに切り離せないと話にならない。リング式のノートだとギザギザに切れてしまうし、ルーズリーフはスキャンしたときに穴が気になる。

ノートのデジタル化にはドキュメントスキャナーが最適

ちょっと高いがロディアのメモパッドはおすすめだ

 僕のお薦めは「マイクロミシン目」などと呼ばれる細かい穴が開いたノートだ。ハサミやカッターナイフを使わなくてもきれいに切り取れる。僕はちょっと高くても、フランスの文房具ブランド、ロディアのメモパッドを愛用している。ほぼ全てのノートにミシン目が入っているし、せっかくなら気持ちよく紙に書きたいと思っているからだ。もちろん他のブランドでもかまわない。ちなみにノートはスキャンした時点で捨ててしまうので、紙がたまっていくことはない。

 まとまった記録を取るなど、少し大きめのノートを使いたいときは、昨年、Twitterで「おじいちゃんの方眼ノート」として話題になった中村印刷所の「水平開き方眼ノート」を使っている。どのページでもフラットに開くのが特徴で、フラットベッドスキャナーを使うならとても便利。スマートフォンなどで撮影する際も扱いやすい。


PDFで保存しても折り目の周囲が影にならない

■外出先ならスマホでスキャン

 僕は、スマートフォンを使ってノートをスキャンすることも多い。自分のノートならば事務所でまとめて作業するのだが、外出先でもらった資料にちょっとしたメモを取った場合などは、できる限りその場でスキャンするようにしている。紙をなくしてしまうと後で探すのがとても大変だからだ。

 スマートフォン用のスキャンアプリはいろいろと登場しているのだが、ほとんどのアプリは読み取った後で「Dropbox」などのオンラインストレージに転送する必要がある。それなら、最近のアップデートでスキャン機能が追加されたDropboxのアプリで撮影、保存するのが手っ取り早い。スキャンしたファイルはPDFとして保存できる。

Dropboxアプリで直接スキャンできるようになった

書類の輪郭を自動で認識してスキャンできる

 また、スキャンしたデータを「Evernote」や「OneNote」などのノートアプリに保存したいなら、それぞれのアプリでスキャンする方法もある。だが僕は、あえてこれらのアプリは使っていない。ノートアプリを使うと、そのアプリ内のノートに直接貼り付けられてしまうので、後からまとめて取り出すのが面倒だからだ。ノートアプリで書類を管理するとしても、一度、PDFなどのファイルにし、それを貼り付けた方が後で扱いが楽だと思う。PDFをEvernoteやOneNoteに貼り付ければ、手書きの文字も認識して、ファイルの中身をある程度検索できるようになる。使いこなすには、コツもあるので次の機会に詳しく紹介するつもりだ。

■手書きパッドは紙とペンにかなわない

 ここまで紙のノートにメモを取る話をしてきたが、僕の場合、打ち合わせや取材など、ある程度のボリュームが予想されるときはiPadにApple Pencilで手書きするなどして記録している。デジタル機器に手書きするメリットはとても書き切れないので割愛するが、書き味以外は最強の入力デバイスだと思っている。

 そんな僕がちょっと気になっているのが、紙に書いた内容を直接デジタル化するツールだ。僕が愛用しているワコムの「Bamboo Folio」は、付属の専用ボールペンで書いた文字や図をスマートフォンに直接取り込めるという画期的な製品。他にも同様の製品がいくつか出ているし、レノボの「YOGA BOOK」でも似たような使い方ができる。

ワコムの「Bamboo Folio」

 これらは使っていて楽しいツールなので、ガジェット好きにはお薦めする。ただ、結果としてできることは紙の場合と大差ないとも思っている。これらの製品を使ってデータ化しても、一般的な紙のノートに書いたものを後からスマホやドキュメントスキャナーでスキャンしても、結果はほぼ同じなのだ。ならば、好きな紙とペンが選べて、電池も不要で荷物にもならない紙とペンのほうが便利だし費用も掛からない。もう少し独自の機能、紙のノートではできない機能が充実してくれればと願うばかりだ。

 最後に、紙のメモならではの、ちょっと便利に使えるテクニックを1つ紹介しよう。僕は仕事柄、本をよく読む。本を読むときはポイントを覚えておくために、縦長のメモ用紙に気になった部分を書き出している。まず、メモの一番上に本のタイトルを書いておき、その下にキーワードなどを書き足していくのだ。それを本に挟んでおくと、後で読み返す際に読むべき場所がすぐに分かるというわけだ。そのメモをスキャンしておくと、今度は「あの話はどの本に書いてあったかな」となったときに探し出すのが楽になる。本を読みながら順次メモを追加していく作業は、やはり紙とペンが向いていると思う。

戸田覚
 1963年生まれのビジネス書作家。著書は120冊以上に上る。パソコンなどのデジタル製品にも造詣が深く、多数の連載記事も持つ。ユーザー視点の辛口評価が好評。

[日経トレンディネット 2017年5月23日付の記事を再構成]

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