あぁ素晴らしきかなTVゲーム第49回 改めて『ガールズ&パンツァー 戦車道、極めます!』を評価するの巻 – サンケイスポーツ

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アニメ原作ゲームの概念を変えたゲームの一本、これでノベルゲームなんか作られちゃ発狂もんですよ

アニメ原作ゲームの概念を変えたゲームの一本、これでノベルゲームなんか作られちゃ発狂もんですよ【拡大】

 あれ?いつものゲーム業界に対するボヤキを書くんじゃないのかい。と早々に突っ込まれそうだけど、ちゃんと考えはあるんですよ。

 ほら、このヲタカルってかなりの割合で『ガールズ&パンツァー(以下ガルパン)』の話題で盛り上がっていて、さらに商店街の方もここ最近色々盛り上がっているじゃないですか(おい!)。そこで今回はビッグウエーブに乗ってみようかと思って一発、僕の得意なゲームの視点でガルパンを語ってみようかとこういうわけでございます、はい(ラジコン戦車なんてやりたくても買えないんだよ!チクショー!!)。

 そこで取り扱うタイトルが2014年にバンダイナムコゲームスからPSVita向けタイトルとして発売された『ガールズ&パンツァー 戦車道、極めます!』。バンナムから出るアニメコンテンツゲームは軒並み「ク・ソ・ゲー」と遊びもせずに断罪されることが多いんだけど、これを発売当日に買った僕の感想は「アニメゲームにしては力が入っている作品」だと思ったわけ。いや決してなけなしの6000円をぶち込んこんだから悔し紛れに言っているとかそういうことじゃなくて、本当にアニメコンテンツを題材にしてかつ、戦車ゲームという日本ではかなりマイナーなジャンルのものを1から制作してある程度遊べる形に仕上げたものとしてかなり評価しているんですよ。

 このソフトも他のアニメ原作ゲームに漏れなく「初回特装限定版」というグッズを付けたやたらお高いバージョン(約1万円)とソフトだけの通常版を販売し、更に「購入別ショップ特典」という鬼のような特典商法が行われて、ガルパンマニアは断腸の思いで欲しい特典を選ばなければならなかった(おそらく全部集めた猛者もいただろう・・・合掌)。

 更に「初回封入特典」としてアンツィオ高校のアンチョビが扱うP40重戦車をDLCとして付けることもあり、1カ月後の劇場公開・OVA発売を前にいち早くアンチョビのボイスを聞きたいというファンの心をくすぐる仕掛けもされていた。ゲームを売るならなんでも手を尽くすのがメーカーの使命であって、それをうまく活かせる仕掛けが作れるのがコンテンツ物の強みなのだろう。この辺は映画原作ゲームでも同じだ。

 さてアニメ・漫画コンテンツゲームについては以前も、上記のようなコンテンツパワーありきのファンの財布を狙った商法に苦言を呈したが(第9回を読んでね)、今回はそれ以外のことについて触れたい。というのもアニメコンテンツゲームの種類を2つに分けるとするならば、まず一つ目としてあげるのは「オリジナルストーリーを扱うゲーム」だ。これは読んで字の如しで、原作の設定をそのまま活かして、ゲームのみに登場する新たなキャラクターをこさえて、そのゲームでしか味わえないオリジナルストーリーをユーザーに楽しんでもらうというもので、案外難しいタイプの作り方である。

 というのもこの手のゲームはオリジナルキャラクターを登場させることで、後の正統派作品に登場するキャラクターと比べられてあーだこーだ言われてしまい、最悪どちらかが卑下される恐れもある(バトル物だと顕著になる)。一応ゲーム会社も保険としてこのオリジナルストーリーには原作者も監修として参加させて、原作にブレがないように最新の注意を払ってその上で広告展開を行ってファンの興味を引いていることもある。

 『魔法少女リリカルなのはA’s Portable』は非常にうまいパターンを取っていて、登場したゲームオリジナルキャラクターが後に展開されるユニバースにきちんと組み込まれ、ファンを喜ばせることに成功しているのだ。まさにキャラクターのリサイクルと言っても過言でない。

 また、これを逆手に取ったとも言える作品が『ドラゴンボールZ スパーキングメテオ』では、もしもあの時にこういうことが起きたらという「ifストーリー」が用意され、これはファンのから高い支持を得ることになった。例を挙げると「フリーザ親子が地球に到着したときに対戦する相手がアックマンで『アクマイト光線』を撃ったらどうなるか」という内容で、アニメ終了以来久しぶりの新たなドラゴンボールワールドを、思い出を汚すことなく体験できる非常に良い作品だった(まぁトランクスが未来を改変するという前提があるからだろう)。

 このオリジナル展開でここ最近顕著なのが、日常物アニメをノベル型のゲームにした作品で、最終的に結婚させて子供までできてしまうという中々にぶっ飛んだ代物まであって物議を醸すこともある。

 さて話を戻して、アニメ・漫画ゲームにあるもう一つのパターンがガルパンのゲームのような「原作になぞって追体験をする」というものだ。映画版権ゲームでもよく使われる昔ながらの手法で(レトロ時代は除くぞ!)、これが一番スタンダードと言っても過言ではなく、ファンとしても安心してゲームにとっつきやすいタイプだ。ただこの手のゲームは工夫してシステムを作らなかったら先の展開を知っているために飽きやすく、ゲームをクリアしないでほっぽりだしてしまうというシビアな一面を持っている。

 一応この手のゲームもどこかでゲームならではオリジナルの体験を用意しているもので、ガルパンのVitaのゲームでは好きな戦車(チーム)を組み合わせてオリジナルチームが作成できるというCPU対戦モードが用意されていた。これはキャラゲーとしても非常に優秀で、各高校の枠を超えた自分の好きなキャラクター(又は声優という人もいるだろう)を組み合わせてオリジナルのチームをこさえるという事もでき、劇場版より先に「大洗女子連合チーム」を作ることも可能だった(知波単学園、継続高校がいないのは突っ込まないでくれ)。

 さらに「原作に忠実」であるこのガルパンのゲームはどこまで忠実かというと、アニメのストーリーだけではなく、スチル(一枚絵)からストーリーモードの戦闘パートの展開まで細かく導線が引かれており(終盤は緩くなる)、さらにTV放映当時のアニメーションまで取り込まれているという豪華さだったのだ!映画ゲームではよくあることなので、特段驚きというのはないのだが、ここまでアニメ製作会社が協力になる例は他になく、協力していたとしてもせいぜいオープニング程度だった。初プレイ時は「どうせ最初だけだろう」とタカをくくっていたら、重要な個所はアニメーションが随所に挟まれて最終話まで徹底的に採用されていたので先の展開まで知っていてもアニメーションが見たくてゲームを進めていたくらいだった。

 加えてマップの作り込みもすごかった。第3話の模擬戦からアニメ版大洗市、プラウダ戦のステージに最終話の校舎までアニメーション独特のマップの画作りに非常に力が入っていて作品への没入感と製作陣の愛情がすさまじかった。最後まで「ガルパンを操作している」という感覚だったので、この時点でアニメ・漫画原作ゲームの中ではトップクラスに入ると僕自身が認定しているのだ(なんちゅう上から目線だ!)。

 またゲーム内のルールもちゃんと作り込まれており、原作通り忠実にフラッグ車をたたいて戦闘終了を目的とする「フラッグ戦」や「殲滅(せんめつ)戦」まで用意されており、ゲーム中には自分のチームの他の戦車に一時的に切り替えて闘う「ザッピングシステム」まで用意されていたので、チームで闘う戦車戦をアニメ同様に忠実に再現しようとする努力が伺えたのだ。

 ところが時期が悪かった!ガルパンから戦車に興味を持った人が戦車ゲームに興味を持ってプレイを始めたのがほぼウォーゲーミング社の提供する、基本プレイ無料の『World of Tanks(ワールドオブタンクス 以下WoT)』をプレイしていて、その完成された戦車ゲームのテイストからガルパンのゲームを評価してしまい「格下」と烙印(らくいん)を押されてしまったのだ。実際にWoTはパソコンという操作環境にありながらも、初めて触った人も直感的に操作できるよう工夫されていたのに対して、Vitaの方ではコンシューマー機器というほぼすべての一般人、ゲーマーに慣れた操作環境にありながら、移動や視点の切り替え、標準が合わせにくいという不便さを持ち合わせすぎていた。せっかくオリジナルチームが作れるにも関わらず、対戦機能がなかったのも痛かった。

 さらに無慈悲なことに当時はWoTでもガルパンの声優を起用したMod(モッド:追加コンテンツ)を公式から配布しており、このゲームの存在意義が塵も残さず消し飛んでしまった!ノリと勢いのアンチョビ姐さんもこればかしは救ってくれなかったようだ。

 と、今回はこのコラムで久しぶりのゲーム批評を行ったわけだが、いかがでございましょう?これで『戦車道、極めます!』に興味を持って頂き、中古価格が少しでも上がってくれればありがたいのですが(おい!)、僕としては是非劇場版6部作が終わったらWoT相手にめげずに更正して再び知波単学園(特に西さん)、継続高校、大学選抜チームの戦車やキャラクターを増加させて作っていただきたいのであります!

 いや本当に待ってますよ?ダウンロード専売でもいいので出して!



畑 史進

「畑 史進」イメージ画像フリーランス声優・ナレーター フリーランスライター。日々、ゲームネタを漁りながらニコ生放送にも出演。スター・ウォーズ解説員、TVゲーム解説員としても活動中。



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